第15章

「ドン!」

轟音と共に、スポーツカーは粉々に砕け散り、猛烈な炎を上げた。

島宮奈々未が競技場に駆けつけた時、目にしたのはそんな凄惨な光景だった。

彼女は頭が真っ白になり、思考が停止した。

「健太!」

彼女は心を引き裂くような悲鳴を上げ、燃え盛る車両へと駆け出した。

「お嬢さん、危険です!近づかないで!」

数人のスタッフが慌てて島宮奈々未を引き止めた。

「離して!離してよ!弟を助けなきゃ!」

島宮奈々未は必死にもがき、泣き叫んだ。

涙で視界が曇り、目の前の光景がはっきりと見えない。ただ自分の心が粉々に引き裂かれていくような感覚だけがあった。

「健太!健太!」

彼女は嗄れ...

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